マロンの成長期

アニメや本、ムキムキなどについて書いていきます

SHOE DOG(シュードッグ)―靴にすべてを。

作品紹介

日本で作られた靴をアメリカで売る。1960年代に米国の誰もが笑うような夢を抱き、著者は日本に渡る。

本書は世界的なスポーツブランドに成長した「ナイキ」の創業物語。夢が叶い、オニツカの靴をアメリカで販売する権利を得て、事業を広げるが、オニツカとの関係が次第に悪化し、資金繰りが苦しくなる。現地の銀行もさじを投げ、倒産寸前に追い込まれた窮地を救うのが、商社の日商岩井だ。日本企業に裏切られ、別の日本企業に救われる。日本との関係の深さに驚かされる。

タイトルの「SHOE DOG」とは靴の製造や販売に命を懸ける人々を指す。ナイキの立ち上げに関わった面々は誰もがSHOE DOGだ。チームに天才は一人もいない。情熱に勝る能力がないことを教えてくれる。


やっと図書館で予約していたのが届きました。ナイキがこれまでに辿ってきた道に興味があったので選びました。


オニツカとの出会い

日本に可能性を感じていたフィル・ナイト(ナイキの創業者)は日本の神戸にあるオニツカを訪れてた。なんとかオニツカのブランドタイガーをアメリカで売る権利を手に入れ、代理店として動き出す。アメリカに戻り、会社の売り上げは日に日に拡大の一途を辿るがオニツカ側のキタミの登場で関係は悪化。別の道を模索することとなる。

 

ナイキブランドの誕生

他の拠点での製作を決め、新たにロゴを考えることになる。ポートランド州立大学で出会った若きアーティストにロゴを依頼し、ついに完成する。これがあのナイキのロゴになった。もし、オニツカとの関係が悪化にならなかったら今のナイキのロゴが生まれなかったかもしれないと考えると感慨深い。その後新ブランド名をNIKEとし、後に会社名もブルーリボンからNIKEに変える。

 

 

日商岩井

『まず日商に支払え。これが最優先事項だ。』この時、日商岩井が二番手として資金を貸していたため、銀行もお金を貸してくれていた。そのため、何よりも日商との関係を重視していた。会社は大きくなるが、それを維持するためにどんどん在庫を仕入れるため現金保有高が常にギリギリになった。銀行はそれを問題視していたが日商がいたからなんとなっていた。だからといって生産を減らすとは全く考えていなかったのでこの状況がずっと続いていた。この時の資金繰りの大変さを読むと本当に成功するまでにとてつもない試練があったと感じる。ここで、てくる日商岩井側の人間は人当たりも良く誰からも好かれるというイメージのある人物だが、イトーという人物は根っからとっつきづらく裏でアイスマンと呼ばれていた。フィルナイトとアイスマンの関係は悪くもないがよくもないと感じていたがある時印象が一変する

 

銀行の資金凍結

バンク・オブカリフォルニアがブルーリボン(ナイキになる前の名前)と取引を中止した。さらに経営の危うさから詐欺とみなしてFBIに通告するという。それにより事態は日商岩井次第となった。なぜなら、お金が返せるかどうかは日商次第でそれにより動きがきまるからだ。

日商とバンクオブカリフォルニア(取引中止を通告した銀行)そしてブルーリボン(ナイキの前身)が一堂に会議室に集まることとなった。

そこで日商岩井アイスマンことイトーはブルーリボンの借金を返済すること、そしてバンクオブカリフォルニアが、サンフランシスコで日商と取り引き交渉をしていた件の拒否を表明。状況は一変した。この瞬間は読んでいてすごく気持ちが良かった。イトーに対してフィルナイトはこの時キスをしたいとすら思ったがが頭を下げるだけにしたそうだ。そう思えるほどの出来事だった。

 

政府との戦い

ある日税関から2500万ドルもの請求書が来た。競合他社がロビー活動を行いナイキの勢いをそごうとアメリカンセリングプライスという保護貿易時代の法を用いて、仕掛けてきたのだ。しかしナイキ側が優勢になると政府側は和解を何度も求めてきて結果和解金900万ドルで決着した。

その後上場を果たし最後の章に向かう。

 

死ぬまでにしたいこと

この章にはいってからは穏やかな雰囲気を感じた。エピソードにはとても穏やかではなく悲しいものもあるが今までのような切羽詰まった印象はなくなるので別作品を読んでいるようにすら感じた。

この章をは一言で言うなら「最高の人生の見つけ方」に落ち着く。これは有名な映画で偶然3日前に見た作品だった。末期ガンの二人が残りの人生をできる限り有効に使おうとする物語である。

人生の最後を考えると言うことはナイキのような大きな会社を作り、名誉もお金も手に入れても自問し続けることなのだ。こんなすごいことをやり遂げたとしても過去に対して後悔がある。なかなかうまくはいかないものだ。それでも前に進み続けてやりたいことをやっていきたい。

 

 読む前はナイキの歴史についてだから大変なことはあるだろうけれどうまく乗り越えていく物語なのだろうと思っていた。

 たしかにそのような面はあるが自分が思っていたよりもずっと険しくギリギリな道を歩んでいたんだと感じた。そして日本の企業とも関わりが深くナイキに親しみを感じるようになった。

 この話の中で一番好きなのは銀行との交渉でアイスマンイトーの活躍だ。
 こういうこと人生でやってみたい。